リアル年収、仕事内容、職場の人間関係…
日比建設の“中の人“に聞いてみた
とび職人へ１０の質問
大手建設会社のパートナーとして
鳶土工事業を展開する「日比建設」。
工事現場で活躍する「とび職人」を束ねる会社だ。
といっても、どんな職業なのか
ピンとこない人のほうが多いかもしれない。
建設の現場で欠かせない「とび職人」の
仕事、給料、人間関係、将来性…。
いろいろぶっちゃけた所を
“中の人”である現役とび職人に聞いてみた！
高卒で日比建設に入社した９年目のとび職人。多くの現場を経験し、この春から職長（各現場のリーダー）を任される。
なんとなく「高い所で仕事する人」ってイメージかも知れないけど、一言でいうと「建設現場の皆が安全に働くための基礎を作る仕事」かな。
誰よりも先に現場に入って、仮囲い（現場をぐるっと囲う仕切り）を組み、安全な足場（作業用通路）をつくる。
その他にも、ビルの骨組みとなる鉄骨の組み立てなんかは花形的な仕事のひとつ。
高層ビルのタワークレーンや工事用エレベーターを組み立てたり解体したりするのは、とび職人の中でも大きな現場を経験した人にしかできない仕事。
この巨大クレーンも最終的にとび職人の手で解体される
いける。
学歴不問、未経験で飛び込める世界だから、中卒だからってハンデにはならない。
むしろ早めにスタートするほうが絶対に有利な世界。
実際ウチの社長や副社長も高校中退だからね。
学歴以上に、職人としての経験が重視されるんだ。
鳶職人だけが見ることができる絶景
確かに俺も運動部出身だったし、「体力がある奴じゃないとムリだろ」と思っていた。
でもウチの若手で今一番仕事ができる奴は、中学時代に不登校だった人。当然、部活経験なし。
入社したときは青白くてひょろひょろしていて、大丈夫か？と思ったけど、立派にやっている。
部活をバリバリにやっていたとしても、とびは体の動かし方が違うんだよ。
最初は必ず全員がバテるからね（笑）。
続けていれば嫌でも体力はつくから、運動経験がなくても大丈夫。
とび職人は筋肉質なガッチリ系だけでなく、細マッチョも多い
日比建設では、中卒の未経験者で月給19万8千円からスタートする。（高卒は21万円）
入社してからは頑張りしだいだけど（年１回給料アップのチャンス有）、例えば15歳で入社して経験を積んだ21歳の社員は年収500万程度稼いでいたりする。
ボーナスもあるし、一人前になれば、月50万は稼げるんじゃないかな？
20歳〜24歳の平均年収（男性・大卒含む）は330万。とび職人は同年代よりかなり稼げているんじゃ…。
会社によって雇用条件は違うけど、日比建設は正社員。
各種社会保険の完備だけでなく、交通費や職能手当、退職金もある。
日曜は固定で休めるし、有給休暇や夏季冬季休暇もある。
社員旅行や資格取得のための補助もあるし、会社からのフォローは手厚い実感があるね。
日比建設では子どもが生まれた男性社員は必ず育児休暇を取得する。育児は仕事と同じくらい大事なこと。取らないと社長に叱られるのだ。
保険には、普通に入れる。
確かに４０年以上前は保険に加入できなかったらしい。
当時はヘルメットさえかぶらずに現場に入る職人さんがいた時代だったからね。
今はまったく状況が変わって安全帯（命綱）を必ず装着して作業をすることになっているし、万が一足を滑らせても落ちないような安全管理を徹底している。
2m以上の高所では、必ず安全帯（命綱）を使用する。
現場での仕事なんで、声はデカイ。
あと、緊張感のある作業のときはピリッとした空気にはなる。
とはいえ、めちゃくちゃ厳しい人はいないし、気持ちは優しい人達ばかり。
一生懸命やっていれば、ちゃんと先輩はフォローしてくれるよ。
見た目は確かにゴツいが、怖い人達ではない
とび職人でうつになった人って、聞いたことないね。
現場は緊張感のある作業の連続なんで、強い口調で指示がとんでくることもあるけれど、後輩をイジメることはない。
外で体動かしているからかな？
人間関係はさっぱりしているよ。
外で汗を流すと、変なストレスは溜まらない
体が動くかぎり続けることができる。
生涯職人として6０歳以上まで続ける人もいるし、経験や熟練度によって管理職的な立場になる人もいる。
とびの仕事は経験や技能やチームワークが大事だから、体力だけじゃないんだよね。
まあでも、一般的な会社員の50〜60代より、とび職人の50〜60代はめちゃくちゃ元気（笑）。
20代がついていけないもん。
60代のとび職人さん。経験を積むほど頼りにされる職人の世界
働ける。
日本全国はもちろん海外でも需要がある技術。
一人前のとびの技術があれば、どこに住んでいようが必ず仕事に就けるし充分生活できる収入を得られる。
だから何が起こっても平気って開き直れるというか（笑）人生を支えるスキルを身につけるって、強いよ。
200mを超える高層建築に携わった経験を持つとび職人は日本の中でも貴重な存在。経験豊かなとび職人は世界中で必要とされている
